ドームふじだより No. 22
−世界一冷たいかき氷−


 4月6日の日曜日、世界一冷たいかき氷に挑戦しました。人や雪上車の通らないきれいな場所に行き、各自が好きな形に雪を盛り上げてシロップをかけて完成です。この時の雪温は-50℃くらいでしょうか?おいしそうなイチゴミルクですが、シロップは雪の表面をツツッーと流れて染み込まずに凍ってしまいました(写真1)。基地から出てきて体が暖かいうちは美味しかったのですが(写真2)、冷たすぎて口の中はヤケドしたようにジンジンし、すぐに体が芯から冷えました(写真3)。注意しないと金属のスプーンは唇や舌に凍り付いてしまい、慌てて剥がしたら流血の大惨事になってしまいます。日本で食べる雪はほこりっぽい味がしますが、ここの雪は非常にきれいなので、透き通った透明な味・・・つまり全く何の味もしません。シロップやコンデンスミルクが凍ってアメのようになり、これはとても美味しい、新発見でした(写真4)。


写真1 世界一冷たいかき氷


写真2 最初は楽しかったものの


写真3 体が冷えてきて辛くなってきました


写真4 シロップや練乳がアメのように

ドームふじだより No. 23
-70℃突破−


 4月10日5時2分に今越冬で初めて気温が-70℃を下回りました。これからさらに気温は下がって行きますが(ちなみに過去の最低気温は-79.7℃です)、とりあえず皆で記念写真を撮りました。昼過ぎですが太陽高度が低いので正面に日射しを浴びて皆まぶしそうな顔になってしまいました。越冬開始の時の集合写真と比べると上下とも羽毛服になり、毛皮付きの帽子やフードをかぶっています。防寒靴、手袋も二重になっています。


前列向かって左から、栗崎高士、高橋暁、杉田興正、藤田耕史
後列向かって左から、中野啓、亀田貴雄、谷口健治、大日方一夫

ドームふじだより No. 24
−ドームふじの満月−


 「月が鏡であったなら、遠いあなたが見えるのに」昔の人はこんな気持ちで月を見つめていたのでしょう。今のわれわれも気持ちは同じです。「南極と日本、遠く離れていて寂しくなったら月を眺めよう。一緒に同じ月を見ることができるんだ」と、言い残してきた隊員もいるようです。写真1は満月から少し欠け始めた月です。写真が小さいのでわかりにくいと思いますが、よく見ると日本とは違うのがわかるでしょうか。満月の後、向かって左側から欠けていますが、日本では右から欠けるはずです。それから、いわゆるおもちをついているウサギの模様も回転しているのがわかるでしょうか?これは日本とこちらとの緯度の差(大きく見れば北半球と南半球)があるためにそう見えるのです。
 残念ながら月は鏡でないので遠いあなたは見えませんが、同じような原理で人間は人工衛星を発明しました。簡単に言えば、電波を飛ばすと人工衛星がそれを跳ね返して遠いところに届けてくれるわけです。写真2の真ん中に写っている魚の骨のようなアンテナと丸いお皿のようなアンテナ(パラボラアンテナ)はアマチュア無線用衛星通信のアンテナ、向かって左の白いお釜のような中にはわれわれが大変お世話になっている業務用通信衛星のパラボラアンテナが入っています。これによって日本とも電話、ファクシミリ、電子メール等が利用できるわけです。
 今の時季、日本は朧(おぼろ)月夜でしょうか?。こちらはいよいよ冬本番を迎えようとしています。


写真1 雪上車と満月


写真2 アンテナと満月