ドームふじだより No. 25
−転がる太陽−


 4月26日に移動する太陽を撮りました。北中する12時20分をはさんで、11時10分から13時30分までカメラ位置を固定して10分間隔で撮影した画像を合成したものです。太陽は水平線上に一部分を見せただけで沈んでしまいましたので、いわゆる転がる太陽にはなっていないのですが、日本と違って水平に近く移動するのがわかると思います。本来はカメラを三脚に固定してシャッターを押せばいいのですが、-60℃台のここではすぐに動かなくなってしまいます。そこで、毎回三脚から取り外して屋内に持ち込んで冷えるのを防いで撮影しました(そのため少しブレています)。4月27日にはほんの少し太陽の光が見えましたが、28日には直接の光は見えず、ついに一日中太陽が顔を出さない「極夜」が始まりました。次の日の出は8月中旬です。文字通りの長い越冬生活に突入したわけです。


転がる太陽 −これで太陽ともお別れです−

ドームふじだより No. 26
−オーロラの元で記念写真−


 オーロラをバックに記念写真を撮りました。シャッタースピードは13秒間で、その間に別のカメラのストロボを焚いて人物が浮かび上がるようにして撮影しました。撮影中に息を吐くと白くなって顔がぼやけてしまうので13秒間息をこらえました。標高3,810m、空気が薄いここではなかなかつらいことです。


向かって左より亀田貴雄、杉田興正、栗崎高士、藤田耕史、大日方一夫、
高橋暁、谷口健治、中野啓

ドームふじだより No. 27
−極夜のサンプリング−


 4月28日から太陽が全く出ない極夜が始まりました。始めの頃は、昼頃には太陽が水平線のすぐ下に来るので日没直後くらいの明るさになりましたが、日を経るにしたがって昼でも暗くなって来ました。気温も下がり、次々に今越冬の最低気温を更新しています(5月12日に-76.1℃)。ちなみに過去の最低気温は-79.7℃です。写真はそんな中で積雪のサンプリングをする気水圏雪氷部門の藤田耕史隊員です。写真では水平線がかなり明るく見えますが、手元は暗く、ヘッドランプなしでは作業が出来ません。


ヘッドランプをつけてのサンプリング