ドームふじだより No. 34
−生野菜−


 われわれは昭和基地から約1000kmの道のりを3週間かけてドームふじ入りしましたので、そりに積んだ食糧は当然すべて冷凍になっており、生の野菜は凍結を避けるために雪上車に積んで来たわずかな分だけでした。この貴重な生の野菜は越冬開始後1か月あまりですべて消費してしまいました。新鮮な野菜を食べたいという隊員の声に応え、カイワレともやし作りを始めました。写真1は出荷直前のカイワレ(この後サラダになりました)、写真2は空き瓶を利用して栽培されたもやしです。どちらも1週間ほどで食べられるようになります。出荷されたもやしは調理担当高橋暁隊員の鮮やかな手さばきにより本格的もやし炒めに変身し(写真3)、食卓に花を添えました。


写真1 カイワレ大根栽培中


写真2 もやし大量出荷


写真3 もやし炒め中

ドームふじだより No. 35
−採血−


 ドームふじに来て3回目の健康診断を行いました。標高3810mという高所のために空気が薄く、血液中の酸素濃度も低いため、それを調べる目的もあって、動脈からの採血です。写真1は採血される谷口健治隊員です。普通の状態では動脈血は明るい赤色ですが、ここでは酸素濃度が低いため静脈のような暗赤色です。写真2は藤田耕史隊員に採血をしてもらっている私です。採血はとてもうまくなりましたが、写真には緊張のあまり思わず握りしめた右の拳が写っていました。採血した後は写真3のように分析です。看護師も検査技師もいないのですべてをひとりで行います。


写真1 採血される谷口隊員


写真2 採血される筆者


写真3 分析中

ドームふじだより No. 36
−睡眠モニター−


 寒冷、高所のここドームふじに健康な8名の隊員が1年間越冬するのは、医学的にみても非常に貴重なので、健康診断に合わせた採血の他にもいろいろな研究をしています。そのひとつに睡眠の研究があります。写真はモニターを装着した杉田興正隊員です。鼻の管で呼吸といびきを、胸とお腹のベルト状のもので胸郭と腹部の動きと体の向きを、指先に付けたモニターで動脈血酸素飽和度と脈拍を測定します。皆自分の仕事だけでもとても忙しくて大変なのですが、痛い検査や、苦痛を伴うモニターにも快く協力してくれて、とても感謝しています。


睡眠モニターを装着(杉田隊員)