ドームふじだより No. 37
−ハロ−


 6月12日の夜、きれいな月のハロが観測されました(写真1)。ハロ(Halo)は太陽または月の光が空中の氷晶という細かい氷の結晶で反射されたり、その内部を通過する時の屈折によって起こる現象で、太陽や月の周りにみえる大きな丸い暈(かさ)のことです。写真2は太陽のハロで、太陽を指で隠して撮影しました。あまりに大きいので普通のカメラのレンズでは全部を一度に納めることができません。写真3も太陽のハロです。光は波長によって屈折率が異なるので、虹と同じように色づいて見えます。また、条件がいいときには写真4のように太陽の左右のハロのところが明るく光る、幻日が見られたり、写真5のように太陽の真下のハロの部分から光が降りそそいでいるように明るく見えたりします。このハロのさらに外側にもう一回り大きいハロが見られることもあります。今回の太陽のハロの写真は極夜になる前に撮影したもので、一日中太陽の出ない今は当然見ることができません。早く極夜が終わって太陽と再会し、ハロを見たいものです。(次の日の出は8月中旬 写真協力は栗崎、杉田、藤田隊員)


写真1 月のハロ


写真2 太陽のハロ


写真3 色づく太陽のハロ


写真4 幻日


写真5 ハロの下部

ドームふじだより No. 39
−雪まりも−


 気温が-70℃前後で適度な湿度の時に、非常に細い綿毛のような霜の結晶(長さ1mm、直径0.01mm程度)ができます。そこにあまり強くない風(風速1〜4 m/s程度)が吹くと、この霜が転がりながら無数に絡み合って、ちょうど雪だるまを作る時のように丸く、大きくなって出来ていくようです(写真1)。
 今回の越冬中にも何回か見られていますが、写真2、3のように大きなものでも直径2cm前後でした。今越冬の最低気温である-79.6℃を記録した7月23日の翌朝には写真4のように直径が4cmを越える大きなものが見られました。ドームふじはまだ極夜期で太陽が出ないので、あまりきれいに撮影できませんでしたが、これだけ大きなものは珍しいようです(写真5:撮影風景)。
 亀田隊員によると「雪まりもは-70℃付近の低温と強すぎない風が必要なので、地球上でも南極の内陸氷床上でしか見ることができないでしょう」とのことです。(写真協力:亀田、藤田両隊員)


写真1 雪まりも


写真2 できたばかりの雪まりも


写真3 雪まりもの群れ


写真4 巨大雪まりも


写真5 撮影風景

ドームふじだより No. 40
−栗崎隊員誕生会−


 栗崎高士隊員の誕生会を開催しました(写真1)。高橋 暁隊員が腕によりをふるったごちそうはもとより、この日はドーム基地で栽培されたサラダ菜、細ネギなどが初めて食卓に上りました。既製の栽培装置は大きくて持ち込めないため、写真2のようにプラスチックコンテナーをビニールシートで覆い、上部に蛍光灯をつけた装置を製作し、水耕栽培用の肥料を用いて栽培しています。発育は遅いのですが、何とかパーティーに間に合いました。写真3の手作りケーキも登場し、栗崎隊員は「一生忘れられない誕生日です」と感激していました。


写真1 栗崎隊員誕生会


写真2 水耕栽培装置


写真3 ケーキに入刀