ドームふじだより No. 31
−ミッドウィンター祭−


 写真1はここドームふじ基地から南極にある各基地に送ったミッドウィンターのお祝いメッセージです。6月22日が日本では夏至ですが、南半球では冬至(ミッドウィンター)にあたり、越冬の折り返し点であることから、昔から盛大なお祝いをすることになっています。正確な越冬期間で言うと、まだ後半の方が長いのですが、太陽の出ない極夜期はちょうど半分が終わってこれからは夏に向けて次第に暖かくなっていきますし、何と言っても、長くて暗い冬で沈んだ気持ちを吹き飛ばす意味でも、とても重要なお祭りです。写真2のように各基地からもお祝いのメッセージがたくさん届きました。


写真1 ドームふじからのメッセージ


写真2 各基地からのメッセージ

 ここでのミッドウィンター祭は6月21日に前夜祭を行い、写真3のように記念写真を撮りました。本祭は22日から3日間行いました。


写真3 開会式

 写真4は外気温-70℃でのドラム缶風呂です。ドラム缶にはヒーターを巻いて暖めているので、お湯の温度は41℃ですが、金属部分に素肌が触れるとすぐに凍傷になってしまうので断熱材などで覆っています。風よけに板を立ててあります。耳は冷たいので長く入るためには必ず防寒が必要です。髪はすぐに凍ってパリパリになってしまいます。写真5は全員の入浴シーンを集めた記念写真です。星空とオーロラを見ながら入る露天風呂は最高で、交代で何回も入りました。アルミ缶に入ったお酒を飲んでいる隊員もいますが、時々暖めないと指が張り付いてしまいますし、飲むときにはくちびるや舌ががくっついてしまいます。また、外に出しておくとお酒自体がすぐに凍ってしまいます。


写真4 -70℃でのドラム缶風呂


写真5 ドラム缶風呂の記念写真

 お祭期間中の食事は、調理の高橋暁隊員が腕によりをかけて作ってくれた洋食フルコース(写真6)、食い倒れパーティーなどの他に、隊員が交代で料理を作ってごちそうする企画もありました。写真7はすしと天ぷらの店の開店準備をしているところ、写真8は揚げたての天ぷらを提供しているところです。他には本格カレー+チャパティなどもあり、作るのも、食べるのもとても楽しい思い出です。


写真6 洋食フルコース


写真7 すし・天ぷら準備中


写真8 すし・天ぷらのサービス

 娯楽ではゲーム大会、マジックショー、ビンゴゲームやみんなで歌ったり、ビデオを観たり、夜遅くまで時間を忘れて楽しみました。写真9は駄菓子屋が開店したところです。造水槽に浮かべた水風船釣りや懐かしいお菓子が並んでいます。造水槽に雪をスコップでひとすくい入れるのがお金の代わりです。


写真9 夜店開店

 こうして3日半に及んだミッドウィンター祭はたくさんの思い出を残してあっという間に過ぎ去り、最後にみんなの願いを書いた短冊を結びつけた気象観測用の風船を放球して閉会しました(写真10)。 


写真10 ゾンデを上げて閉会

 このように、十分に英気を養いましたので、越冬後半も明るく元気に無事故で乗り切りたいと思います。