ドームふじだより No. 41
−散髪−


 写真は散髪されている亀田貴雄隊員と散髪している私です。外科医は仕事でハサミを使うからという理由で理容師もやっています。ドーム基地には床屋専用の部屋はありませんから、食堂を片付けてシートを敷き、体にも毛が付くので裸の上にガウンを着てやっています。


散髪

ドームふじだより No. 42
−燃料搬入−


 ここドームふじ観測拠点では発電と暖房のために1日に120〜130リットルの燃料を使用しています。主として、南極軽油という極低温でも使用可能な特殊な軽油です。おおよそ3日間でドラム缶2本に相当します。
 極夜期が始まる前に基地の中に約40本のドラム缶を備蓄しましたが、これだけではどうしても不足するので、時々ドラム缶を搬入する必要があります。まずドラム缶の周囲に積もった雪を除雪し、ふたりで1本ずつ転がしてきます(写真1:高橋暁、藤田耕史両隊員)。リフターという昇降用の機械で基地の中に下ろします(写真2:谷口健治隊員)。空気が薄く、-70℃の中での作業はなかなか辛いものがあります。
 運び込まれた燃料は冷えているのでドラム缶の周りにはすぐに霜が付きますが、何日間もかけてゆっくりと室温に戻されると、燃料は上の方が暖かくなるので、写真3のように霜の付いていない部分が上の方から順に下に向かって拡がっていきます。手前にあるのがリフターです。燃料タンクへの給油は電動ポンプを使い、毎日夕食後に当直が行います(写真4:谷口隊員)。


写真1 燃料ドラムの搬入


写真2 リフターで基地内へ降ろす


写真3 冷えているので霜がびっしりと着く


写真4 発電機への給油用ポンプ

ドームふじだより No. 43
−冬の雪入れ−


 ドームふじの周囲はすべて雪に囲まれていますが、融かさないかぎり自然の状態での水は存在しません。雪を造水槽に入れて発電機の熱を利用して融かして水にしていることは以前にお伝えしましたが、冬の間は夏とは違う方法で雪取りをしています。(ちなみにここでは8月中旬頃まで一日中太陽の出ない極夜が続いています)
 写真1をご覧下さい。向かって左上の黒いパイプが夏期間に雪を入れていたシューターで造水槽の脇まで繋がっています。右には食堂棟の建物が見えます。現在の雪面はこの建物の屋根の高さにあることは以前にお伝えしましたが、隊員の立っているところは建物の床よりももっと下の雪の中です。今から6年前までの3年間の越冬では、この雪の中をトンネルのように横に掘り進んでその雪を利用していました。しかし、天井部分が崩落する危険性があることと、3年間の越冬で基地の周りの掘れそうなところの雪はみんな使ってしまったので、われわれは残っていたトンネル(雪洞)の屋根を壊して半露天式にして雪を利用しています。外側の大きな穴は周囲の雪を少しずつ底に落としてできたものです。気温は外と同じですが、風は避けらるので冬でも作業可能です。ブリザードが来ると、自然に穴の中いっぱいに雪が入り込むのでそれも利用できます。
 写真2は写真1で隊員が立っていた穴の底です。隊員は建物の中からハシゴを伝ってここに下ります。黄色いプラスチックのコンテナーに雪を詰めます。雪の詰まったコンテナーはリフターという昇降機に載せられ、写真3のように上げられます。向かって右は隊員の利用するハシゴです。
 リフターの先、建物の中では隊員が待っていて、昇ってきたコンテナーの雪を、滑り台のようになっている台の上に空けます(写真4)。この台は造水槽に繋がっていますので、雪は造水槽の中に入ります(写真5)。これを繰り返して、1日におよそ20杯の雪を造水槽に入れます。日曜を除く毎日、午後一番の仕事として全員で行っています。


写真1 雪取り坑


写真2 雪をコンテナに詰める


写真3 コンテナをリフターで上げる


写真4 コンテナの雪を台にあける


写真5 台から造水槽へ