ドームふじだより No. 50
−シャボン玉−


 写真1は何かおわかりでしょうか。正解は凍ったシャボン玉です。-70℃の中でシャボン玉はどうなるのかというご質問をお受けしましたので、実験しました。懸命にシャボン玉を作り続けましたが、途中までふくらんでも割れてしまうか、写真2のようにストローにくっついてしまい、空中に飛び出すことはありませんでした。凍ったまま落ちると写真1のような破片になりました。シャボン玉の液が十分に拡がって薄い膜になる前に凍ってしまうのが原因のようです。次は暖かいところで作ったシャボン玉が-70℃の中に出て行ったらどうなるかを実験してみます。結果はまたこのドームふじだよりでご紹介いたします。


写真1 シャボン玉の殻


写真2 シャボン玉をふくらませているところ

ドームふじだより No. 51
−お湯撒き−


 -70℃の中でコップに入れたお湯を空中に撒いたところです。一瞬にして細かい氷の粒となり、真っ白く見えます。その後は雲のように漂って行きます。ドームふじ名物の「お湯撒き」です。


一瞬にして凍るお湯

ドームふじだより No. 52
−ピット造成−


 深層掘削を行うドリルの全長は12m以上もあるので、これを吊り下げるマストを新掘削場の床から建てると高くなって危険ですし、ドリルを横にして中から氷のコアを取り出すのにも不便です。そこで、マストは床より少し上の高さを支点にして、上に3m、床より下に9mが振り子のように垂直になったり、水平になったり動く用に設計されています。この床より下にマストが通過する部分(ピット)の掘削を約1か月間かけて行いました。写真1はピットの掘り始めの様子です。幅60cm(下の方は80cm)、長さ10m、扇型で、一番深いところは10mの深さになります。写真2は掘り進んで、身長よりも深くなったところです。こうなるとスコップで直接雪を外に出すわけにはいかないので、写真3のようにプラスチックのコンテナに雪を入れ、写真4のようにウィンチで吊り上げてピットの外に出します。この雪はさらにそりに積み替えられて掘削場の外に捨てられます。新掘削場の床自体がすでに雪面から3m掘った深さにありますから、そこからさらに10mの深さのピットの底は雪面から13mの深さになります。ドームふじの1年間の積雪量は約10cmですから、単純に考えてもピットの底の辺りの雪は130年前のものということになります。さらに、深くなるほど雪は押しつぶされているので実際にはもっと古くて、200年以上前の雪にになるでしょうか。写真5は完成間近のピットです。栗崎隊員がとても小さく見えます。


写真1 ピット掘り始め


写真2 順調に掘り進む


写真3 ピット内の様子


写真4 ウィンチで雪の詰まったコンテナを上げる


写真5 ピットの底の栗崎隊員