ドームふじだより No. 56
−白夜始まる−


 10月24日の夜(25日の0時過ぎ)に、ついに太陽の光は水平線から消えることが無くなり、白夜になりました。写真は25日23時20分から15分間隔で1時20分まで撮影した写真を合成した、沈まない太陽です。4月26日に水平線の上に一瞬顔を出す太陽の写真を撮影し、ドームふじだよりにも掲載しましたが、このときは上に凸、今回は下に凸の円弧を描いているのですが、違いはわからないくらいに、どちらもほとんど水平に近く移動しています。ここドームふじでは、太陽の沈まない白夜が約4か月間続きます。いよいよ夏の到来で、気温もこれからぐんぐん上がりますが、そうは言っても-30℃以上になることはほとんどなく、やはり世界で最も過酷な場所のひとつであることに変わりはないようです。


沈まない太陽

ドームふじだより No. 57
−イグルー祭−


 掘削場に雪洞を掘った時のブロック状の雪を使ってイグルー(かまくら)を作りました(写真1)。屋根まで完全に雪だけで作りたかったのですが、ここの雪は霜ざらめ状で固まりにくいし、水は貴重なので水を掛けながら作ることもできず、屋根だけは断熱材を利用しました。まだ夜があった10月始めにホットプレートで焼き肉をしながら宴会をしました(写真2)。内部は8人が腰掛けられる広さです(写真3)。風は防げますが、気温は-60℃なのでとても寒く、お酒を飲んでもあまり酔いません。ところが、油断すると基地に戻って体が温まった途端に一気に酔いが回ってしまうので要注意です。


写真1 イグルー完成


写真2 イグルー祭


写真3 -60℃での宴会

ドームふじだより No. 58
−おっさん歩−


 極夜が明けて気温も高くなり、休日に基地周辺を散歩するのが流行っています(写真1)。数人で一緒に歩いたり、1人でもくもくと歩いたり、スタイルは様々です。防寒靴を履いて雪の上を歩くので、どうやっても颯爽とはいかず「お散歩」ならぬ「おっさん歩」と呼んでいます。周り中雪に囲まれているので、目的地は過去に立てられた看板などが多く、写真2の看板まで約1km、写真3の看板も同じく約1kmです。写真3の女性はドームふじで最も多く写真に写っている有名人だと思います。今から約10年前に当時の雪面に立てられたものが、今はここまで埋もれてしまっているのです。さらに歩き続けると、遠くに基地が見える他には自分が歩いてきた足跡しかありません(写真4)。


写真1 おっさん歩


写真2 南へ1kmの看板(33次隊)


写真3 北へ1kmの看板(34次隊)


写真4 聞こえるのは自分の足音だけ