ドームふじだより No. 59
−出迎え旅行準備−


 次の第45次隊の5名(夏隊4名、越冬隊1名)は12月始めに飛行機でやってくることになっていますが、その飛行機は標高3000mまでしか離発着できないので、標高3810mのドームふじまで直接来ることはできません。そこで、こちらから片道約500kmの道のりを出迎えに行くことになっています。期間は約2週間です。その旅行の準備が始まりました。写真1はルート状に立てる赤旗を作っている中野隊員です。今回の飛行場となる場所までは新しいルートなので、このような赤旗や空のドラム缶をおいて標識にします。写真2は雪上車の整備をする栗崎隊員です。雪上車はまさに命綱、故障したら大変なので入念に整備をしています。写真3は食糧の準備をしている高橋隊員です。なるべく短時間で食事の準備ができるように、調理したものを冷凍保存します。ここは極寒の地、冷凍は建物の外に出すだけであっという間にできあがりです。


写真1 赤旗準備(中野隊員)


写真2 車両整備(栗崎隊員)


写真3 食糧の準備(高橋隊員)

ドームふじだより No. 60
−深層掘削用マスト−



 3000mの深さまで氷床を掘削する深層ドリルを吊り下げるためのマストが完成した話を先日お伝えしましたが、マストが動くところがわかりにくいとのご意見を頂戴しましたのであらためて写真を撮りました。写真1はマストを起こし始めているところです。完成すればドリルはこの上に横たわっていることになります。写真2はかなり起きあがってきたところです。写真3は支点から上に起きあがるマストです。マストは支点から下に約9m、上に約5mの長さがあり、約12mの長さのドリルを支えるのです。写真4は完全に起立したマストです。このマストが通る、幅60cm、深さ約9mの穴(ピット)はすべて手で掘ったことも以前にお伝えしました。写真5は9m下のマストの先端部分です。青い蓋の下がケーシングパイプで、約100mの深さまで続いており、その中にドリルを下ろして掘削を始めます。掘削中(マストが起立しているとき)に穴に落ちたら大変なので、蓋を閉めておきます(写真6)。写真7は反対側から見た起立したマストです。写っている谷口健治隊員の足下の箱の中に、これから組み立てる深層ドリルが入っています。ドリルを引き上げたときにはこの逆の動きとなります。マストを始めの状態のように横にして、その上に載ったドリルから氷のコア(柱)を引き出すのです。ということで、マストの動きがご理解いただけたでしょうか?写真8は恒例、全員集合の記念写真です。


写真1 マストの起こし始め


写真2 かなり起きあがってくる


写真3 支点から上のマスト



写真4 完全に起立したマスト


写真5 マストの先端部分



写真6 落下防止用のフタ


写真7 裏側から見たマスト


写真8 恒例の記念写真

ドームふじだより No. 61
−雪氷観測−


 写真1は出入り口の屋根の上を掃いている藤田耕史隊員です。お掃除が大好きなためにこんな場所まで掃いているわけではありません。研究のため、ここに箱を置いて毎日空から降ってくる雪を集めているのですが、前日の余分な雪が混ざらないように周りを掃いておくのです。-70℃を超える真冬の間も1日も欠かさずに続けてきました。写真2は雪尺測定をする亀田貴雄隊員です。基地から300m離れた36本の雪尺(雪面にさした竹竿)の高さを毎月15日と月末に測定し、雪の積もり具合を調べているのです。もちろん冬の間もずっと続けてきました。今年の1月30日から10月30日まででは、平均すると7.2cmの雪が積もったことがわかりました。


写真1 雪のサンプリング(藤田隊員)


写真2 雪尺観測(亀田隊員)