ドームふじだより No. 68
−本当の頂上は?−


 ドームふじ基地はドーム状の地形(雪形?)の頂部(標高3810m)に位置していると以前からご紹介していますが、とてもなだらかな場所なので、どこが本当の頂上なのかを決めるのはなかなか難しいことなのです。基地は33次隊が頂上と決めた地点に建設したのですが、26次隊が測量や気圧高度計、人工衛星観測などで頂上と決めて看板を立てた場所はここより12kmほど北西に行ったところにあるので、日曜日を利用して探しに出かけました。ちょっとしたドライブ気分です。写真1は埋もれかかっている看板を発見したところです。これを掘り出し(写真2)、引っぱるとするすると引き出せたので、立て直して記念写真を撮りました(写真3)。昔はふじドームと呼ばれていたのがわかります。さらに、最近の技術を使って人工衛星から計測した結果で決めた最高地点はこの看板の場所から1kmほどのところにあります。写真4は研究のためにその場所で人工衛星からのデータを受信しているところです。三脚の上にアンテナが載っています。この状態のまま一晩置いてデータを記録し、翌日回収に出かけます。


写真1 埋もれた看板発見


写真2 看板の掘り起こし


写真3 26次隊の看板を掘り起こして記念写真


写真4 GPS観測(亀田隊員)

ドームふじだより No. 69
−掘削開始−


 45次飛行隊が到着後、氷床深層掘削ドリルの調整などを行ってきましたが、準備が完了していよいよ開始し、12月25日に初めてのコア(氷の柱)を手にすることができました(写真1)。写真2はマストの上に横たわる掘削用のドリルを上側(吊り下げるワイヤーの側)から見たところです。羽のように3本出ているのはアンチトルクと言って、穴の中で氷の壁に食いつくようになって、ドリルの先端が回転してもドリル自体が回転してしまわないようにするものです。写真3はマストが起立し、ドリルが穴の中に入っていくところです。穴の入口は床から10m下です。ドリルの長さがおわかりいただけるでしょう。ウィンチを回転させてドリルを上下させたり、ドリルを回転させたりするのは写真4のようなコントロール室で行います。写真5は1回の掘削が終わってドリルが上がってきて、穴から出たところです。写真6は上がってきたドリルの先端の刃の部分です。中央の白いものがコアです。この刃の付いた筒の部分が回転し、中に氷が入る仕組みになっていて、1回に4mずつコアが採取できる構造です。第1回目は穴の中に氷のくずがたくさんあったので、コアはその下の部分の1.2mの長さとなりました。3年がかりで行う3000mの掘削を考えると、まだ第一歩を踏み出したところですが、とにかくここまで頑張ってきたことが結実したので感無量でした。写真7は全員揃っての記念写真です。


写真1 初のコアが上がってくる


写真2 掘削ドリル上部から


写真3 掘削ドリル全景


写真4 コントロール室


写真5 掘削孔へ降りていくドリル


写真6 上がってきたドリル(コアが詰まっている)


写真7 初コア記念写真

ドームふじだより No. 70
−あけましておめでとうございます−


 ここドームふじでは日本から6時間遅れの新年を迎えました。大晦日の午後にはNHKの国際放送「ラジオジャパン」で紅白歌合戦を聞き、夜はパーティーのあと年越しそばを食べ(写真1)、新年のカウントダウンをしました(写真2)。元旦は調理担当高橋隊員の心づくしのおせち料理をいただきました(写真3)。好評のドラム缶露天風呂も再登場しました(写真4)。風が強かったので耳だけは覆いましたが、この日の外気温は-30℃台で日光も当たるので、ミッドウィンター祭の-70℃の時とは異なって、実にのんびりと入浴できました。栗崎隊員はたこ揚げをして楽しみました(写真5)。年末年始の休みは大晦日の午後と元旦のみで、2日からは元通りの忙しい生活が始まりました。


写真1 年越しそば


写真2 カウントダウン


写真3 おせち料理をいただく


写真4 新年ドラム缶風呂


写真5 たこ揚げ(栗崎隊員)