ドームふじだより No. 71
−発電機ピストン交換−


 ドームふじの基地内の暖房、発電をまかなっている発電機は2機あり、交互に運転していますが、そのうちの1台のエンジンはすでに運転時間が2万時間を超えたので、ピストン交換をしました(写真1、2)。機械担当の栗崎隊員の指導を受けながら、私も手伝いました(写真3)。エンジン内部をいじるときには少しでもゴミが入らないように手袋は使わずに素手でおこないます(写真4)。油まみれになりましたが、無事に終了。以前よりも音も静かになり、良好に働いています。


写真1-4 発電機のピストン交換

ドームふじだより No. 72
−コア掘削の手順−



 深層ドリルの調整もほぼ完璧になり、掘削は順調に進んでいます。写真1のように、途中で割れることなく4m弱の1本もののコア(氷柱)が安定して掘り出せるようになってきました。取り出したコアの一番上の部分は、その前に掘り出したコアの一番下の部分ときれいにつながります(写真2)。こうやってすり合わせをしながら、保存しやすいように順番に1.5mずつの長さに切っていきます(写真3)。切ったコアはコア樋という台に載せて、温度変化の少ない雪洞の中に貯蔵します(写真4)。来年の夏にはここでコアをさらに縦に切断して現場解析をしたり、冷凍のまま日本に持ち帰ってさまざまな解析を行う予定です。写真5のコアの中に見える灰色の帯は火山灰の層です。南極の内陸にこんなにたくさんの灰が降り積もった時期があったのは驚きです。この灰を分析すればどこの火山由来のものかがわかります。そして、その火山の噴火時期は、ほかのいろいろな調査、研究によって特定されているので、この氷の年代を特定するのにとても貴重な手がかりとなります。


写真1 コアの押し出し


写真2 コアのしり合わせ


写真3 1.5mにカット


写真4 コア貯蔵室


写真5 火山灰発見

ドームふじだより No. 73
−アマチュア無線局−


 ドームふじにはアマチュア無線局(8J1RF)があります(写真1)。携帯電話やインターネット、テレビゲームなどの普及で、人気は低落傾向ですが、世界中にはまだまだたくさんのマニアがいます。私も中学生の時に昭和基地と交信し、とてもうれしかったことをはっきり覚えています。その感動を少しでも多くの方に届けたいと思い、仕事の合間に交信をしました。声で話すほか、電信といってトンツーを使う方法、パソコンを使っての文字のやりとりや、SSTVという画像のやりとり、アマチュア用の通信衛星を使った交信もやりました。写真2は越冬開始直後にアンテナを組み立てているところ、写真3は完成したアンテナです。写真4はアマチュアの通信衛星用のアンテナとオーロラです。45次飛行隊の出迎え旅行には写真5のようなアンテナを雪上車に取り付け、交信をしました(雪上車からの交信は世界でもあまり例がないのではないかと思います)。1年間の成果は世界7大陸、6000局弱、9つの南極基地と交信することができました。ドームふじ観測拠点を世界に紹介するのに少しは役だったのではないかと思います。たくさんの励ましの言葉もいただきました。本当にありがとうございました。(ちなみにドームふじだよりは今回が73回目。アマチュア無線の略語で73はさようならを意味します)


写真1 アマチュア無線局(8J1RF)


写真2 アンテナ組み立て


写真3 完成したアンテナ


写真4 アンテナとオーロラ


写真5 雪上車にアンテナを設置