ドームふじだより No. 74
−今シーズンの掘削終了−


 越冬が終了してドームふじを去る日も近づき、今シーズンの深層掘削は約360mまで掘り進んだところで無事に終了しました。写真1は今までの掘削用ドリルとは違う、掘った穴を調べるための検層ドリルです。写真2の三角形に出っ張った部分は、氷の壁を伝って移動して穴の大きさを正確に測ることができます。この他には、穴が曲がっていないか、中の温度はどのくらいか、正確な穴の深さはどれくらいかなどを測定するようにさまざまな測定器が付いています。計測の結果、とても順調に掘り進んだことがわかり、胸を張って来次隊に引き継ぐことができることがわかりました。


写真1 検層ドリル


写真2 掘削孔測定センサー

ドームふじだより No. 75
−撤収準備中のブリザード−


 越冬終了直前の1月18日にB級ブリザードがやって来ました。写真1のように帰る準備をして外に置いていた荷物は雪に埋まってしまいました。また、今回のブリザードは飛雪が多かったせいか、静電気の発生がものすごく、アンテナにつながるケーブルからはバチバチと火花が飛びました。1年間で13回目のブリザードは新記録です。ブリザードが去った翌日は、今回の越冬で余った予備食糧を次以降の隊のために整理して残しておく作業(デポといいます)をしました(写真2)。基地内は狭いので、基地の外にドラム缶で棚を作り、その上に置いておきます。こうしておかないとすぐに雪に埋もれてしまうのです。


写真1 ブリザードで埋まった荷物


写真2 食糧をデポする

ドームふじだより No. 76
−さようなら−


 いよいよドームふじだよりも今回が最終回になりました。1月23日に基地を閉鎖して、昭和基地の近くのS16という出発点まで1000kmの道のりを雪上車で約2週間かけて走行します。45次夏隊の4名は途中から飛行機でロシアのノボラザレフスカヤ基地に飛び、そこからさらに飛行機で南アフリカのケープタウン経由でひとあし先に日本に到着予定です。われわれはS16からヘリコプターで観測船しらせに乗り込み、オーストラリアのシドニーに3月20日に到着、3月27日に成田空港に到着する予定です。世界で最も過酷な場所での越冬生活は厳しくもあり、楽しくもあり、最大の目標であった深層掘削も無事に開始することができましたし、他の研究面でも十分な成果を上げることができたと思います。拙い文章と写真でしたが、ドームふじの自然や生活が少しでもわかっていただけたら幸いです。最後になりましたが、応援メッセージを下さったみなさまには隊員一同心より感謝いたしております。1年間おつきあい下さり本当にありがとうございました。 さようなら。